【CS02-02】第2章 第2話 コンピュータのデスクトップとラップトップ

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Fabshop XEROX

CS-2章 ハードウェアを理解しよう

【CS02-02】第2章 第2話 コンピュータのデスクトップとラップトップ

ハードウェアの第2話はパーソナルコンピュータの種類「デスクトップ」と「ラップトップ」についてです。今やコンピュータと言えばこのパーソナルコンピュータの世界が話題の中心です。ですからコンピュータと言うとすぐにこれらデスクトップパソコンとノートブックパソコンのイメージが出てくるでしょう。

知っているようで知らないパーソナルコンピュータの世界をハードウェアの観点でご紹介していきます。

デスクトップコンピュータ

デスクトップはその名の通り「机の上」のコンピュータです。これは机の上に据え置きのコンピュータであるという事です。本体とモニタ、キーボード、マウスなどに分かれていて設置したあとは基本的に動かすことはありません。

図のデスクトップコンピュータの本体はモニタの右側に置かれています。DVDトレイが一番上についていますが、ディスクの入れ替えやマウスのスペースを確保するため、マウスを右手で操作する人は右に、左手で操作する人は左に本体を置く場合もあります。

デスクトップコンピュータは拡張性が高く、処理能力が高いため、専門的な作業を行ったり、ビジネスで利用する場合にはこちらが選ばれます。価格も安く、モニタを2枚にして操作性を上げたりもします。

デスクトップパソコンの「シャーシ」について

デスクトップパソコンは据え置き型のコンピュータです。デスクトップパソコンの中身は部品単位でも販売されているため、よく自作コンピュータなどといって自分で組み立てる人もいます。組み立ては部品を組み合わせていくだけなので、ドライバーでネジ止めしたことがあればだれでも組むことができます。ただしどの部品をそろえればよいかなどの知識は必要です。これについてはこの章で詳しく解説していきます。

ここでは、まずデスクトップパソコンのシャーシを見てみたいと思います。

タワー型デスクトップ

パソコンを仕事で使っている人や高度な事を行ったり、他の機器と接続させて作業するなどの汎用性が求められる場合にはこのタワー型のシャーシを選びます。

最大の特徴はパーソナルコンピュータと呼ばれる中では一番大きいものであることです。DVDトレイも横に置けるようにトレイが出てきます。またその下に追加のドライブを設置したり、HDDドライブを追加したり機能を拡張していけます。

大きいだけあってあとから様々な用途に利用できます。

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スリムシャーシ型デスクトップ

スリムシャーシ型デスクトップコンピュータはDVDなどのメディアを縦に入れる形で使います。名前の通り「スリム」になっています。省スペースで利用できますが、あとから内臓のドライブなどを増設できず、またコンピュータに機能を拡張する場合も限定的です。

主にデスクワークで、特に拡張の必要がないようなシーンで利用されます。学校のプログラミングの授業やビジネスでは事務仕事などのシーンでよく利用されています。

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ノートパソコンという呼び名は日本だけ。通常は「ラップトップ」。

さて、デスクトップパソコンに対してノートパソコンと呼ぶ場合がありますが、実はこの呼び方は日本だけで、完全に和製英語です。海外のパソコンショップで「ノートPC」なんて言っても何のことだか通じません。本当の呼び名は「ラップトップ・コンピュータ」という呼び名です。

ラップトップ(Laptop)コンピュータは薄い液晶モニタとキーボードとその下のマザーボードが一体型となって持ち運べるようになっています。一体型であれば膝(Lap:ラップ)の上でも操作できることからそのような呼び名になっています。

今でこそ液晶モニタになっていて、かつ電池も搭載しているため出先の電源がないところでも利用できるようになっていますが、昔のラップトップコンピュータはブラウン管で電池も搭載していないため一体型で簡単に移動ができて、電源が確保できればどこでも利用できるというものでした。

現在のラップトップコンピュータは小型化され、かつ薄型のものが続々登場しています。持ち運びをなるべく簡単にするために軽量化も進められています。デスクトップ型コンピュータのように広いスペースに部品を配置するわけではなく、限られたスペースにメモリ、マザーボード、HDD、モニタ、マウスのかわりをするトラックパッドなどを配置しないといけないため、小型化するためにその形状は特別な形状に年々改良されていっています。

そのため、ラップトップコンピュータに使われる部品はデスクトップコンピュータのものよりも高価なものになります。特に薄型、軽量化を重視しているコンピュータなどは、より高価になっています。

一般的には15インチモニタを搭載した、ある程度の厚みがあるノートパソコンが廉価版で人気を集めています。当然ラップトップコンピュータの中でもこのクラスのものが部品も量産化されていて、17インチや13インチなど少し大きめのものやより小さいものに関してはハードウェアが高価になっています。

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パソコンと言えばWindows とMac

コンピュータの話題の中心は、やはり「パーソナルコンピュータ」ということになります。ちなみにノートパソコン同様「パソコン」も和製英語ですので、海外では全然通用しません。日本語を学んだ外国人なら知っているかもしれませんが、それだけ日本でしか使っていない言葉です。

パーソナルコンピュータと言えばWindows(ウインドウス)とMac(マック)の2大OSがそのシェアの殆どで、Net Applications社調べの2019年5月末時点でのOSシェアはWindowsがおよそ88%、MacOSが9%、Linuxが2%程度となっています。

ラップトップのところで出てきた2枚のラップトップコンピュータの写真は最初のものがデル・コンピュータ社のWindows OSパソコンで、2枚目の写真がApple社のMac Book Air というMacOSを搭載したコンピュータです。

パーソナルコンピュータを語るうえでこのWindowsOSを発売しているMicrosoft(マイクロソフト社)とMacOSを発売しているApple(アップル)社については欠かすことができません。ソフト専門のMicrosoft社のハードウェアを供給していたIBM社も欠かすことはできません。

次にこの関係をみていきましょう。

マイクロソフトとIBM社

Microsoft社は米国ワシントン州のレドモンドに本社を置くソフトウェアの開発を行う会社です。社名にもある通りソフトウェアを市場に供給しています。OSとしておよそ90%近いシェアをほこるWindowsOSが最も有名です。

まだパーソナルコンピュータが登場してまもない1974年ごろにBASICと呼ばれるコンピュータ言語の開発販売でスタートし、その後IBM社がリリースしたIBM PCに搭載するOSの開発を請け負い、その後MS-DOSと呼ばれる独自ブランドを開発しました。MS-DOSこをがWindowsの原点で、マイクロソフト社はこのOS部分を開発し、IBM社が主にハードウェア部分を開発していきました。

MS-DOSというOSは黒い画面に白い文字が表示されるだけで、その画面にコマンドを入力してコンピュータを動かしていましたが、もっと多くの人に簡単にコンピュータを使ってもらおうという事からGUI(グラフィカルユーザーインターフェース:第1章の6話参照)としてWindowsが開発されました。

一方でハードウェアの部分はIBM社がIBM-PCを業界のスタンダードにしていきました。そのため世界中のハードウェアメーカーがこの仕様を採用してハードウェアを作り、MS-DOSが動作するコンピュータが多くリリースされるようになり、それにともなってMS-DOSの需要も増えていきました。このころ日本ではMS-DOSではなく、NECが発売していたPC-9800シリーズという独自のコンピュータを販売していました。

MS-DOSが動作するコンピュータを「PC/AT互換機」や「DOS/V機」と呼ぶようになりました。日本メーカーの多くがこのPC/AT互換機を発売し、NECも同様に発売を開始しました。それら機器がやがてWindowsの登場によりWindows機としてリリースされていきます。

ここまででもわかる通り、Microsoft社はソフトウェアだけを供給し、ハードウェアを多くの企業が作っています。NECや東芝、ソニー、パナソニック、デル、レノボなどの大手メーカーからパソコンショップなどが発売するオリジナルパソコンなど、これらハードウェアの部分は多くのメーカーからリリースされていて、それらはすべてWindowsOSが動作するように設計されたいわゆるWindows互換機という事になります。

Fabshop Microsoft本社

上の写真はMicrosoft本社、下の写真は現代のGUIの登場に大きく影響を与え続けたXEROX社のコンピュータ。MacOSやWindowsの使いやすさは元々XEROX社のソフトウェアから大きく影響をうけています。

Fabshop XEROX

ハードとソフトを自社でこなすアップル社

アップル社は米国カリフォルニア州のクパチーノに本社を置くハードとソフトの両方を開発する企業です。いわゆる「シリコンバレー」と呼ばれるエリアにあります。

シリコンバレーと呼ばれる地名は正式にはありません。シリコンバレーはサンフランシスコの南部のサンノゼやサンタクララ周辺にアップル、HP、インテル、ナショナルセミコンダクター、Google 、シスコシステムズなどの半導体関連やIT関連企業が多く育ったことからその名で呼ばれています。

アップルの特徴はハードウェアの会社であるという部分です。よくOSのシェアとしてMicrosoft社のWindowsとの比較が良く上がってきますが、1社でパソコン本体や最近ではiPhoneなどのスマートフォン、スマートウォッチなどの開発とそれらコンピュータ上で動作するOSやソフトウェアの開発までを行う企業です。

パーソナルコンピュータの黎明期に登場したアップル社は以降も斬新なハードウェアとそれらを快適に操作させることに注力したOSやソフトウェアを次々とリリースしています。

同社は1975年にアタリというゲーム開発会社に勤務していたスティーブ・ジョブスとその友人でHP(ヒューレット・パッカード)社に勤務していたスティーブ・ウォズニアックによりコンピュータの開発がスタートし、1976年にアップル・コンピュータ・カンパニーとして設立された会社です。

開発したApple Iというコンピュータは当初二人が勤務するHPまたは、アタリから製品化するように提案しましたが断られたため起業する運びになりました。

その後もApple Ⅰ の改良を重ね、Apple Ⅱ という革新的なコンピュータをリリース。キーボードや電源装置、本体が全て一体化されていてモニタに接続するだけでコンピュータとしてどこでも利用でき、当時では珍しいカラー表示も可能になっていた。デザインも良い事から人気を集めパーソナルコンピュータを一気に加速させました。その後も1980年にビジネス向けにAppleⅢをリリースし、当時のIBM-PCの市場に入り込んでいきました。

マウスの登場

これまでのパーソナルコンピュータはキーボードだけでコマンド入力をしていましたが、1979年ゼロックスのパロアルト研究所でスティーブジョブスが見たシステムはその後のアップルに大きな影響を与えています。同社が開発したマウスによる操作が可能なGUIの登場によりコンピュータはより一般の人たちに使いやすいものになるだろうと、次世代のコンピュータLisaにこのGUIを搭載しマウスも付け1983年にリリースしました。

さらに1984年にはモニタ、フロッピーディスク、本体などの全てが一体型になったMacintosh(マッキントッシュ)というシンプルなデザインのコンピュータをリリース。マウスやGUIだけでなく、より視覚的に使いやすいOSとして注目を浴びました。

いらないファイルを「ゴミ箱」に入れ、ゴミが入るとゴミ箱がふくれるなどの発想もアップルのOSに搭載されたものでした。

その後も当時はアイボリーなどの色が中心のコンピュータ本体に、半透明なパリカーボネイト素材によるデザインのコンピュータ「iMac」などをリリース。当時様々な製品が「半透明」になるなどブームまで巻き起こしました。

このころから日本国内でもAppleの斬新なCMが沢山放映されるようになりました。iMacが発売される前までのアップル社は革新的であるものの価格帯が一般向けコンピュータとしては格段に高価だったためシェアもあまり伸びずに、途中マイクロソフト社への売却などもうわさされたこともありました。ところがこのiMacのリリース以降、デザイン性やOSの使いやすさなどが話題になり、また低価格化により一般にも少しずつ知られるようになってきました。

Apple本社 Fabshop

上の写真は旧アップル本社、下の写真は現在のApple本社。新しい本社は巨大で電力を100%自家発電している。

Apple本社 Fabshop

下の写真左がMacintosh、右が初めてGUIとマウスを搭載したLisa。

▼日本で放映されたiMac当時のCM

より身近なハードウェアの世界へ

アップルのハードウェア政策はコンピュータの世界をさらに広げます。2001年にはiPod(アイポッド)と名付けられたポケットに1,000曲おさまるHDDを搭載したミュージックプレイヤーを発表しました。当時、音楽を外で聞く場合はポータブルCDプレイヤーやMDプレイヤーが主流で、ようやくMP3プレイヤーなどが出てきました。どれも多くても数十曲程度しか入らなかったプレイヤーに自分が持っているすべての曲を入れて持ち歩けるようになるということで人気を集めました。

そして2007年にはiPhoneの登場です。iPhoneにはiPodやカメラ、第三世代通信規格(3G)対応でのインターネットなど革新的な要素が沢山搭載され、タッチスクリーンもマルチタッチと呼ばれる2本以上の指で様々な動きを表現できるものを採用され操作性の高さでも評判を集めました。

さらに2010年にはタブレットPC分野への進出も果たし、以降も時計分野にコンピュータを搭載させたApple Watchなど革新的なハードウェアをリリースしています。

ここまで見ても分かるようにアップル社はハードウェアとソフトウェアの革新的な進化を続けコンピュータの世界をどんどん身近なものに広げているといえます。

▼スティーブジョブスのiPodプレゼン(2001年)

▼iPhone発表のプレゼン(2007年)

デスクトップとラップトップだけでなくなったコンピュータの世界

パーソナルコンピュータの世界はデスクトップやラップトップにとどまらず、音楽プレイヤー、スマートフォン、スマートウォッチなどポケットや身に着け持ち歩くものにまでどんどん広がってきています。

今後このコンピュータサイエンスではそれら分野についても深く掘り下げていきますが、ハードウェアの進化が進むことでより人々の生活が便利で豊かで身近なものになってきます。そしてハードウェアをコントロールするソフトウェアにも多くのニーズが集まり、それが更なるハードウェアへのニーズと進化に繋がっていることがわかります。

今回はパーソナルコンピューティングの世界でのハードウェアの話題でしたが、まだまだ広がるコンピュータの未来をこのコンピュータサイエンスの中で学んでいきましょう。