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CS-1章 コンピュータサイエンスと基本

【CS01-04】第4話 コンピュータのチップ ~半導体の知識~

第3話では、コンピュータの中身とハードウェアという事で、パソコンのマザーボードの話しを中心に、パソコン内部の部品の役割などを紹介しました。パソコンがどのような部品構成で成り立っているか全体的な話を広く浅くしたわけですが、今回はもっと具体的に1つ1つの役割を掘り下げてみたいと思います。

集積回路(IC : Integrated Circuits)

コンピュータのチップは今や様々な電気製品の中に入っています。電子基板の上にはに黒いセラミック(陶器のようなもの)の小さな板があるのが目に入ります。この小さな黒い物体こそが「チップ」と呼ばれるもので、インテグレーテッド・サーキット(Integrated Circuits)を略してICと呼んだりしています。インテグレーテッドは「1つにする」「統合する」などの意味があり、サーキットは電子回路という意味があります。つまり、このICという小さな黒い部品の中に、さらにいろいろな役割を果たす回路が入っているという事になります。

ICの登場により、電子回路はとても小さくすることができるようになりました。写真にあるように、この黒い部品の周りには沢山の「足」が出ていて、これらが他の回路と繋がって電気の信号を行き来させて様々な動作を実行しています。

世界最初の集積回路はテキサスインスツルメンツ社から

米国テキサス州のダラスにある「テキサスインスツルメンツ社」は半導体の発展の中でとても重要な役割を果たしている会社です。集積回路を発明したのは同社に勤務していたジャック・キルビーという人で、1つの部品の中に数個の小さなトランジスタを形成する構造を編み出したのが始まりです。

トランジスタとは小さな3本の足をもつ部品で、電子回路上で電気を流したり流さなかったりとスイッチのような役割をするものです。また、増幅という小さい信号を大きくするという性能ももっています。

コンピュータのチップとはこのトランジスタなどが沢山入っているもので、1つのICに入っているトランジスタの数が多ければ多いほど様々な処理ができることになります。

電子部品に使われる材料は、大きく3つのものに分けられます。1つは電気を良く通す「導体」、2つめは電気を通さない「絶縁体」です。そして3つめは「半導体」と呼ばれる電気を通したり通さなかったりするものです。電子回路で電気が流れる銅線などは導体で、ICのケースである黒いセラミックの部分などは電気を通さない絶縁体です。トランジスタは「半導体」と呼ばれる部品で、ICは沢山のトランジスタで形成されているので、これもまた半導体という事になります。

transistor Fabshop

半導体とはどのようなものか?

半導体は、シリコン(元素番号14 記号:Si)とゲルマニウム(元素番号32 記号:Ge)という材料で作られます。特にシリコンは地球上にも非常に多い元素で自然の中で酸素やマグネシウムなどと結びついて存在しています。

半導体部品としてシリコンを利用するにはなるべく不純物の無い高純度のものが必要で、11N(イレブン・ナイン)とよばれる、99.999999999%以上の純度が必要といわれています。現在では15N(フィフティーン・ナイン)まで純度が挙げられるようになっています。

トランジスタについての詳細はLearning Engineeringが提供している「トランジスタの仕組みとは?」の動画で詳しく紹介していますので、以下の動画をご覧ください。

半導体部品、特にIC(集積回路)を製造するときには半導体ウェハと呼ばれる高純度のシリコンでできた鏡のような円盤上に回路を転写していきます。一枚のシリコンウェハに複数のチップが出来上がり、これをカットして、配線を施して複数のピンを付けてセラミックのカバーをしてICが出来上がります。

これらチップができるまでを更に詳しく見たい方は東京エレクトロン社が提供する「ナノテック・ミュージアム ~半導体ができるまで」をご覧ください。

CPUやRAMも集積回路

コンピュータを構成しているCPU(Central Processing Unit: 中央演算装置)もIC(集積回路)の1つです。初期のICには数個のトランジスタが入っているだけでしたが、技術の発展により数百万個を超えるトランジスタを1つのチップに集積できるようになってきました。このように、よりたくさんのトランジスタが集積されたものをLSI(Large Scale Integration) と呼びます。CPUはLSIで構成された回路をひとまとめにしたもので、現在では数十億個のトランジスタを搭載しています。

LSIを回路図にすると学校の体育館全面に回路図を広げたものが何層にも重なるほどの図面になります。

コンピュータのメモリ(RAM)にもLSIが搭載されていて、細長い基板の上にLSIが複数並んでいて、長辺部分に端子が出ています。このメモリはパソコンでは、ハードディスクと呼ばれるデータを保管する場所からデータを呼び出して、メモリに展開して作業をします。RAMの容量が多ければ多いほど一度にできる処理が多くなりパソコンのスピードも高速になります。

RAMの容量が多いという事はLSIの数も多く、それは同時にトランジスタの数もRAMの容量が多ければ多くなるという事を意味します。

コンピュータではハードディスクに書き込んだ情報はコンピュータの電源を落としても消えることはありませんが、RAMに展開したデータはコンピュータの電源が落ちるとそこに記憶されているものは消えます。

よく「再起動するとパソコンが早くなった」など再起動するとパソコンなどの調子がよくなったりするのは、ずっとパソコンをつかっているとRAMにデータが残っていて、アプリケーションを終了したつもりがなんらかの理由でRAM上にデータが残ってしまい、メモリ(RAM)容量を圧迫していたため一度電源を落とすことでRAM上のデータがクリアされるからです。

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CPUと言えばインテル社。創業者の一人「ゴードン・ムーア」が唱えた法則

写真はシリコンバレーにあるインテル本社の外観と併設のインテルミュージアム

シリコンバレーにあるインテル本社

「Intel Inside!(インテル入ってる!)」というキャッチコピーでお馴染み「インテル」はCPUのメーカーとして現在最も有名な企業です。米国カリフォルニアに本社があり、Intelという社名の由来は「Integrated Electronics(集積されたエレクトロニクス」から来ています。

ICを発明したのはテキサスインスツルメンツ社のジャック・キルビーという人でしたが、実は同時期にフェアチャイルドセミコンダクターという会社のロバート・ノイスも独自にシリコン平面上に集積回路を形成する特許を出願していて、この二人の技術が集積回路の原点といわれています。

このロバート・ノイスと同僚だったゴードン・ムーアの2人がフェアチャイルドセミコンダクターを退社し、1968年に「Intel」を立ち上げました。

ゴードン・ムーアは1965年に「ムーアの法則」という半導体の進化に関する法則を唱えました。これは「集積回路の実装密度は18か月ごとに2倍になる」というものです。

1年半でトランジスタの数が2倍になるということで、3年後には4倍、6年後には16倍になるという事です。それだけコンピュータの性能も上がっていくという事です。

しかし、近年では物理的な限界なども言われていて、新素材の発見や新しい技術が登場しない限り、ムーアの法則は続かないとも言われています。

 

第4話では、コンピュータのチップと半導体の話しをしました。これらについては今後もコンピュータサイエンスの中で沢山出てくる基本的な話しです。CPUやRAM、ハードディスクの動作については第3話でも触れていますので、それぞれどのように動作しているのかはしっかり理解しておきましょう。

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