第3章 第2話 ネットワークの形態

0
1151

【CS03-02】ネットワークの形態

現在、ネットワークを構築するには様々な形態があります。複数台コンピュータがあれば自宅でもネットワークを組む時代です。すでに無線LANなど、ネットワークを構成する用語は日常的に使われるようになっていますが、今回はそれらの定義や意味を明確にして、ネットワークをある程度分類してみます。

ネットワークの形態は主に規模の大きさとトポロジーで定義する。

ネットワークの形態を表す要素として、ネットワークの規模の大きさとネットワークトポロジーの2つがあります。まずはネットワークの規模の大きさからみていきます。

小さいネットワーク「LAN」

LAN(ラン)はネットワーク用語の中でもよく使われる言葉です。Local Area Network(ローカル・エリア・ネットワーク)の頭文字をとってLAN(ラン)と略して呼びます。直訳のままで、限られたエリアの中で作るネットワークという意味になります。小規模なものを指す場合が多く、家庭内のLANや社内LANなどがそれにあたります。

家庭内LANなどでは、有線、無線が混在し、1つの建物の中に1つのネットワークがあるような形になっています。ネットワークは複数台ある場合と言いましたが、他のネットワークに接続するためにコンピュータやスマートフォンが1台しかない場合でもLANを組む場合があります。

社内LANでは、1つのフロアだったり、複数のフロアをまたいだり、ビル一棟丸ごとでLANを組んだりしています。

市町村単位や離れた拠点間の「MAN」

MAN(マン)はLANよりも大きい単位のネットワークです。Metropolitan area network(メトロポリタン・エリア・ネットワーク)の略で、市町村単位などで張り巡らされているネットワークの事をいいます。学校や企業などで広い敷地の中に離れて建物がある場合などは、LANを構成するようなイーサーネットケーブルは最大で100mとされているため、ケーブルが延長できない場合があります。このようなときに光ケーブルなどを使ってネットワークを構成する場合などがMANになります。

行政区画単位でも利用されています。行政などは市役所や学校ほか市の施設を光ケーブルなどで結びMANを構成している場合があります。またATMなど銀行のネットワークなどもそのような構成になる場合があります。

MANは一般にはあまり関係のないネットワークのため話題に上がってきません。また拠点間を繋ぐだけであれば、ある拠点のLANと他のLANを結ぶためだけに光ケーブルで接続する場合などは規模の大きさというよりは限定されてるネットワークとして「LAN」と呼ぶ場合も多くあります。

地球規模のネットワーク「WAN」

MANよりも更に大きく、市町村や国の枠を超えて繋がるネットワークの事をWAN(ワン)と言います。Wide Area Network(ワイド・エリア・ネットワーク)の略です。WANはいくつものLANやMANが集まっている全体的なネットワークの事を指す場合もあり、インターネットなどもWANの1つであるため、唯一誰もが知るWANがインターネットであるため、同じものとして使われる場合もあります。

国内だけでなく世界中に拠点を持つ企業はWANが必要になってきます。これらネットワークはメタルケーブルや光ファイバーケーブルなどの有線だけでなく人工衛星などを無線通信でつないで広域なネットワークを構築します。

このように、ネットワークはそのエリアの広さによって表現される言葉があります。

ネットワークトポロジー

あまり聞きなれない「トポロジー」という言葉ですが、日本語では「位相幾何学」の事を言い、物事のつながりや連続性を考える数学の一分野を指します。「ネットワークトポロジー」というとネットワークがどのような形で接続されているのか、どのようにデータが流れていくかを表すものをいいます。このネットワークトポロジーにもいくつかの型があります。時代の流れと共に使われなくなってきているものもありますが、代表的なものは以下の通りです。

バス型トポロジー

バックボーン(またはバス)と呼ばれるメインの一本のケーブルにサーバーやパソコンなどが接続されるネットワークの形式です。シンプルな構成で直接ケーブルに接続しているため、ケーブルを分配する分配器のようなものは必要なく、ケーブルも少なくてすみます。

しかしながら、接続された1台のコンピュータに不具合があったり、メインのバックボーンに不具合があるとネットワーク全体が機能しなくなることがあります。

ケーブルは同軸ケーブルで転送速度も低いため、現在ではあまり使われなくなっています。

リング型トポロジー

その名の通り、リング状に閉じられたネットワーク上をデータが一方通行で回転するネットワークです。コンピュータ上から他のコンピュータへデータのリクエストを送ると一方向にリング状のネットワークの中をデータが流れそれぞれのコンピュータを訪ねて該当のコンピュータを探していきます。バス型トポロジーよりも信頼性が高いもののLANなどのネットワークで使われることはあまりなく、LANとLANをつなぐバックボーンなどに利用されていました。しかしながらこのネットワークも現在ではあまり使われることがなくなってきています。

スター型トポロジー

現在最も一般的となっているネットワークの形で、ネットワークケーブルをハブ(HUB)やルーター(ROUTER)と呼ばれるケーブルの分配器を通して各コンピュータを接続します。データはすべてこのハブやルーターを通過してデータのやり取りが行われます。

このネットワークは接続されているコンピュータがダウンしても他のコンピュータの通信に影響がなく、ネットワークの規模を簡単に大きくしていくことができます。

一方でハブやルーターなどが故障した場合はそこから配線されているコンピュータやサーバーはすべて利用できなくなってしまいます。

メッシュ型トポロジー

すべての端末やコンピュータがそれぞれ全て接続されているため、沢山のルートが出来上がる接続方法です。そのため他のトポロジーと比べてネットワークの信頼性が高くダウンしにくいネットワークになります。

すべてを接続しなければならないため、ネットワークケーブルが沢山必要になり、構築するには非常に高価なものになります。

この接続方法はLANなどには適しておらず、MANやWANなどある程度大規模で距離のあるネットワークで利用されています。この章を進めていくうちにインターネットの仕組みの話も詳しく触れていきますが、インターネットはwww「ワールド・ワイド・ウェブ(世界規模の蜘蛛の巣)」と呼ばれるように網目状に、まさにメッシュ型のネットワークになっています。

メッシュ型のネットワークはそのルートの通り方により、データの転送速度が大きく変わります。

ネットワーク構成のまとめ

ネットワークはその規模によってLAN、MAN、WANなどに分類されます。中でもLANはよく使われる言葉で、家庭や企業内など限定されたエリアで利用されるネットワークはほとんどLANです。このLANを構築する時のトポロジーは殆どがスター型で構成されています。ハブという分配器にLANケーブルと呼ばれるケーブルで接続します。HUBにケーブルをさすときには、特に順番もなく自由に接続できるため、簡単に拡張ができます。いろいろなトポロジーを見てきましたが、スター型とメッシュ型が現在使われているネットワークの殆どを締め、LANはスター型、MANやWANはメッシュ型にすることで効率よくデータをさばいています。

今回はおおざっぱにネットワークをご紹介しましたが、今後動作原理など細かく掘り下げていきます。